わが国における深礎工法の歴史は古く、1930年に開発され1960年頃に現在の深礎工法の原型となり、その特異性・信頼性から現在でも採用されている場所打ち杭工事のひとつである。
利用度は多数あり、山間地等における橋台基礎の小口径深礎杭。橋脚基礎の大口径深礎杭 建築・鉄塔等における拡底基礎杭。その他 抑止杭、集水井戸、障害物撤去工、立坑築造工等々多種多様に採用されている工法である。
施工方法は坑壁を山留め材で支えながら人力にて掘削し、支持地盤へ到達後、坑内にて鉄筋を組立て、コンクリートを打設するもである。
近年は、深礎杭の大型化(大口径深礎杭)等に伴って、人力主体の深礎工法から機械力主体の深礎工法へと移り変わっており、大型機械の開発等も進んでおります。土留めにおいても従来最もポピュラーとされていたライナープレートからモルタル吹付けへ、又、ロックボルトを併用した吹付けコンクリートの土留めも近年では珍しくない施工方法でもあります。
現在、『第二東名高速道路』では山岳地での傾斜地において【竹割型構造物掘削工】が考案されており、地山に対する影響を最小限に抑えて施工でき、環境にも充分考慮した新工法も開発されております。
近年、急速に発達している大口径深礎杭は、ロックボルトを併用した吹付コンクリート工法による土留工法が現在の主流となっております。土砂部においてはライナープレート及びリング支保工にて土留めを行い、岩盤部では吹付コンクリートにて掘進し、支持地盤まで到達させます。 掘削に関しては大型機械が投入できることから、掘削機械の開発・発破技術の向上等、目まぐるしく変化しております。 鉄筋においては、耐震設計を考慮した中間帯鉄筋(剪断方向)が近年、配置される事が多くなってきています。
土木基礎杭に用いられる小口径深礎杭の施工方法には、主に3種類に分類される。
(A工法) 人力を併用したパイプクラム等に依る掘削方式
(B工法) 人力を併用したクレーンとバックホウを使用した掘削方式
(C工法) 人力主体で掘削し、三脚櫓で排土を行う掘削方式
近年、施工機械の開発・小型化が発達しており、小口径深礎杭においても機械力主体の掘削方式が主流となっております。土留めの種類も、従来ライナープレートに依る土留めが主流となっていたが、現在は杭の鉛直方向の周面摩擦力を取り入れた、モルタルライニングによる新しい土留工法も頻繁に行われています。
緩やかな傾斜地において地面が地下水等の影響によって斜面方向に 沿ってゆっくりと移動する自然現象の事をいいます。地すべりが発 生すると広範囲にわたり膨大な土砂が流れ落ちる為、一般的に被害区域も広く甚大な被害を及ぼすことになります。日本国内においては特有の地形・融雪・梅雨・台風等々の豪雨により毎年各地で地すべりが発生しております。又近年の異常気象により日本国内のみな らず、世界各地でもこの様な地すべり被害が報告されています。
地すべり対策には主に2種類あり、地すべりの原因となる土砂や水を取り除く【抑制工】と構造物(主に杭)で地すべりを止める【抑止工】に大別されます。【抑制工】の中で最も効果があるといわれているのが深さ約40mの井戸を掘り、その中から集水ボーリングによって地下水を集め地上に排出する集水井工です。
当社ではこの集水井戸の構築を古くから携わり、約30基の施工実績を積み上げました。亀の瀬地すべり対策事業でのなかでも最も代表的なものが深礎杭による【抑止工】です。深礎杭は他の杭では対処できない大きなすべり力があるところにおいて採用されており、施工規模も大きく世界トップクラスと言われております。直径はφ3.5m~6.5mで杭長は100mに達する深さもあります。
このような長い巨大な杭を地上から掘り下げてすべり面下を貫き、場所打ちで鉄筋・コンクリート杭を築造し、杭の抵抗力によって地すべりを防止するものです。亀の瀬地すべり対策事業ではこのような【抑止工】を昭和51年から着手し、平成19年現在も施工中です。当社は着手当初の昭和51年から参加させて頂き、深礎杭の施工実績としては120本を超えており、現在も峠下部深礎杭を施工させて頂いております
リング・生子板工法は、深層基礎として戦前からあった深礎工法で、リング・生子板による土留めを行う工法です。
機械掘削ができない場所の施工に使われることが多く、杭のみならず、障害撤去で使用される場合もあります。